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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2019.07/vol.167

子供の背中を見る

後継者育成には「背中を見せるのが良い」ときく。背中とは働く姿だ。ユニークなエピソードを3つ紹介しよう。
ひとつめは母娘で営む青果店。久しぶりに店主に会いに行くと、店頭から少し入ったレジ前に大きな段ボール箱があり、中に手を入れ微笑む女性客の姿が目にとまった。挨拶そこそこに箱に近づくと、タオルとおもちゃに囲まれた男の子が私を見上げていた。彼は娘さん(後継者)の長男。彼女は「真夏も真冬もこの(段ボール)中なので…」と、申し訳なさそうに母の顔を見せるが、本人は意に介しない。彼女が配達に出かけると、代わる代わるお客様に子守をしてもらえるのでご機嫌だ。お客様も「これが楽しみで来るのよ」と、笑う。おかげで人見知りせず、初めての私にもペタッと頬をつけて愛らしく、仕事そっちのけになりそうだった。
二つ目は、創作料理レストランだが、こちらは「ただいま」と、小学生が店に帰ってくる。向かう先は厨房の奥に店主が一所懸命造った小部屋。店主ご夫婦が店の営業を終えるまで、彼はこの小部屋で宿題や食事をして過ごしす。そして眠った子供を背負い帰宅するという。「子供に迷惑をかけて…」と、申し訳なさそうに子供に目をやる奥様。先の青果店同様に商い中心の子育てに不安もあるようだが、成長すれば「やっぱりよかった」と振り返るだろう。
三つ目だが、この2つの話を生花店でしたところ「うちもそうだった、だから良かった」と店主が頷いた。脱サラの彼は次男に社長を任せることに決めていた。長男はサラリーマン時代の子で専業主婦だった奥様がいつもそばにいて育てたという。一方、次男は脱サラして事業を始めた頃の子なので育児は二の次。「夫婦で店に出ていたので、かまってあげられなかったが、それが良かった」と店主は笑った。
さて、冒頭の後継者育成の応えに「子供の背中を見る」を追加しておこう。せっかく後継者が店に入っても、ことあるごとに口を出しては人が育たない。大けがしそうな時は即座に手を差し伸べるにしても、普段は「子供の背中を見る」姿勢も大切。こうして互いに見て見られる親子関係の店なら無理なく後継者が育つのではないだろうか。
(平成30年2月3日執筆)

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