2024.09/vol.228
創業からの人
創業からの人、になろう。
様々な立場の方が、それぞれの心模様で創業するわけだが、準備万端、意気揚々と店主になっても、しばらくするとしょんぼりしてしまう方がいる(=創業までの人)。一方、スタートは芳しくなくても、徐々に成長カーブに乗せていく店主もいる(=創業からの人)。後者の話を聴くと、できれば避けたい転機を仕方なく引受け、その後の選択肢に創業が浮かび、探り始め、静かに動き出したという方が少なくない。経験値だが、後者の方が打たれ強く、しなやかな商いを展開する印象が強い。
避けたい転機とは何か。たとえば会社員なら、望まない転勤や部署の異動、そして倒産など。これらの転機は前ぶれもなく突然やってくる。仕方なく辞めて、別な仕事に就くことを考えると、退職と再就職はワンセット、つまり2つの転機は続けてやってくることに気づく。
ここで、退職と再就職の間にある無職の期間に目を向けてみる。どこにも属していないニュートラルな状態で、非常に不安な期間だ。生活を考え、早く次の仕事に就かなければという焦りもあるだろう。
ところで、このニュートラルな状態だが、これから起きる転機(再就職や、人によっては創業)をチャンスに変える大事な時間でもある。どうせ働くなら、と、自問自答し悩む方もいるだろう。応え出しが容易ではないニュートラルな時間を歓迎する人は少ないと思うが、この状態に十分浸った人なら、本当にやってみたい仕事は何かという、簡単に応えらえない問に納得いくまで向き合うことができる。これを逃げずにやるから良い転機を迎えられるのではないか。冒頭の「創業からの人」がこのタイプに違いない。
こう書いて思い出すのは、とある会計事務所の所長。大病でそれまで務めてきた会社を辞め、ベッドでニュートラルな状態に浸り、その後、満を持して創業し事業を発展させたと聞く。
創業に関わらず、今、まさに転機を迎えている人もいるだろう。混沌としたニュートラルな状態から、いいかげん抜け出したい、早くスッキリしたいと思っているはず。そんなモヤモヤが、本稿を読んで少し整理されれば幸いだ。この転機がチャンスになることを信じて。
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230傾聴が役に立たない時もある
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229初めてのおつかい
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228創業からの人