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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2024.08/vol.227

四季に商いを重ねる

開業から3年は県内での仕事が多く、自らハンドルを握り出張していた。それ以降は県外出張が増え、空路や線路を利用する機会が増えた。このハンドルを握らない出張が、とてもいい。悪天候で遅延や欠航は仕方ないとして公共の交通機関は、まず遅れない。そして時間に正確であること以外に重宝しているのが、車窓からの気づきだ。
特に在来線がいい。ガタンゴトンと懐かしいリズムで進む車窓は景色がゆっくり流れていく。車輛が前後左右にほどよく揺れるのもいい。息が合うというか緩やかになる。数百キロの移動を短縮してくれる飛行機や新幹線は身体に楽だが、考え事なら、呼吸に合う在来線に軍配が上がる。
ところで、在来線の車窓だが、そこから景色を眺めていると不思議と何かを思い出したり気づくことが多く、コンサルティングに役立っている。
たとえば、春の車窓なら寒さに耐えた樹木に芽や葉の緑がつきはじめ、淡いけれど確かな動きが見てとれる。すると、創業期や導入期にある店主を思い出す。
初夏になると芽や葉が一気に生い茂り、同じ駅から見える樹木がひとまわりもふたまわりも大きく見える。この風景は商いでいう成長期に当たる。伸び盛りといえば聞こえはいいが伸び放題で後始末が必要な店も出てくる。
放っておくと、悪い芽も育ち易い時期。予防線を張ったほうがいいと、該当する店を思う。
最近は残暑が厳しく、秋の存在が薄れているが、車窓からは実りの秋を確認できる。この風景は商いでいう成熟期だ。お客様に恵まれ商いが膨らんだ状態。
そして、冬の車窓は辛抱のときを思い出す。商いは踊り場にあたる。何もしなければ、この先緩やかに下降していくだろうし、収穫した果実から種をとり、早春の種まきに備えれば安定した商いが望めるかもしれない。
車窓を流れる四季に商いを重ねると、今日これから向かう店は気がかりな成長期に入っていることに気づく。この時期は、売れて当然、忙しくて大変。ともすれば創業の想いが薄れ、お客様より店の効率を優先しがち。先の「悪い芽はいいときに育つ」がこれだ。到着まで1時間ある。スマホを取り出し、店主のアドレスを開くが、言葉に迷う。
会って直接にしよう。
かける言葉も、この車窓が教えてくれるかもしれないのだから。

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株式会社ケンオリ
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