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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2024.04/vol.223

やり取りを切らない

コンサルティング先のインテリア用品店はホームユース商品だけでなく衣料も揃えており、家族での来店も多い。今日は、私が売場巡回時に遭遇した、ご夫婦のやり取りから、やり取りを切らないことの大切さを紐解いてみよう。
この店の衣料はラック2本分の婦人もの。かぶらない一点ものを揃えるので、固定客がついていた。30代だろうか、そのコーナーで商品を吟味する女性客が目にとまった。向かいの什器越しに観察していると、ご主人らしき男性が子供の手を引いて近づいてきた。「どっちがいい?」と彼女は2本のハンガーを持ち上げた。彼が迷わず「こっち」と、左側を指さすと、「え~、私、これがいいと思ったのに」と、右側の商品に目をやった。少々ふくれっ面の彼女。結局、やり取りはここで終わってしまい、自分の考えを曲げなかった彼女は、右側の商品を持ちレジへ向かった。
こうしたやり取りに、心当たりのある方もいるだろう。商品選びに限らず、たとえば、悩みごと相談で呼び出され、親身に聴いて、助言をしたが、結局助言は受け入れられず、相談者は自分で決めたとおりに進んだ、など誰かに相談するのは、たいてい応えを決めた後だ。ならば、先のご主人は何と応えればベターか?「両方似合うよ、どちらかといえば、こっちかな?」はどうだろう。これは女性同士に多い返しだが、彼の「こっち」に比べると、迷いや遠慮が伝わり、対立せずに済むのでは。でも、こうした無難なやり取りを「独り言」のように受け止め、関心が途切れたと感じる人もいる。特に、店員とお客様のやり取りで、本当に迷ってアドバイスが欲しいお客様に対しては、もう少し肉付けしなければ、やり取りが切れてしまう。仮に衣料品の店員なら、同じような服を衝動買いしたと、お客様が後悔しないように、ワードロープの状況を聞いたり、好む色と似合う色は別だということを伝えるなど、購入後まで気を配ればお客様もハッとする。そのうえで「強いて言うなら、こちら」と意見すれば、やり取りも続くのではないか。
勝負事では、勝った理由はともかく、負けた理由はいくらでも言えるという。買物も同じ。しかも、その後悔は記憶に残る。ならば、接客は遠慮せずに対話に肉付けし、やり取りが続くように働きかけよう。時には強いて売らずに先延ばしもよい。その結果「あの時買わなくてよかった」と言われたら、販売員冥利に尽きるのではないか。

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