新聞折込広告をはじめとした、広告の可能性で集客をサポート。
福島県のセールスプロモーション・エージェンシー

たかはしこうじのマーケティングスパイス

2024.01/vol.220

反論のかげで

食品製造卸にうかがうと、まず総務部長に会ってほしいと言われ、部長席のすぐ横、植栽で仕切られたソファに案内された。彼は机を挟んで部下(新人)と対話中だったが、「とにかく内線で確認してくれ」と席を立った。その語気から2人が揉めていたことがわかった。こちらに来た部長は「お恥ずかしいところをお見せしました」と頭を下げたが、私はそれには触れず打合せに入った。書類をしまうころには昼を過ぎ、部長と外に食事に出た。
料理を待つ間、彼は先の部下とのやり取りを話しはじめた。
彼によれば、安全衛生の会議を定期的に開催しているが、開催通知がメールのため、開封から時間がたつと忘れる人もいる。そこで、念のため前日に内線で確認するよう、新人の部下に頼んだ。ところが彼から「メール開封済」は画面で確認済、電話は二度手間ではないか、他の部署も「みんな」メールで済ませている、と反論された。結局は内線で確認することになったが、さて、この判断、あなたはどう思うだろう。まあ、どちらも一理ありだが、今回は部長を支持しよう。ポイントは、部下を育てるには「みんな」を簡単に受け入れない方が良いからだ。
よくあることだが、大人も子供も自分のしたこと、したいことの理由づけに「みんなもしている」と言う。たとえば「食事中はテレビをつけない」という親に「でも、みんなつけてるよ」と、子供は言う。この時、親に自信がないと、すぐに見透かされ、サッとリモコンを操作される。ところが、テレビをつけた子供の心の隅には「これでよかったのかな」と疑問が残る。それを確かめようと、わざと叱られそうなことをして、親の反応をみる。これで親が動かなければ子供の心は混乱するわけだが、先の部下も「みんな」メールで済ませていると反論したものの、実は過去の出来事が心の隅にあり、反論することで改めて部長の個性を問い、反応をみたのではないかと。ならば部長も、この問いかけの「みんな」に惑わされず、自分の個性で応えるべきではないか。だから今回は内線に1票なのだ。
部下を1人でも持つと、動かすことの難しさに気づくだろう。部下が反論してきたときは、上司を試している面もあるということを忘れずに。念のために付け加えておくが、上司の立場を履き違え、明らかに理不尽なことを強制するのはご法度。様々なハラスメントがあるが、その境界には十分注意してほしい。

一覧へ
お電話はこちら
メール

受付時間 月〜金曜 | 9:00〜17:00

株式会社ケンオリ
TOPへ戻る