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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2023.12/vol.219

給湯室会議

とある製造小売店でのこと。入社3年目、30代後半の女性社員が退職することになった。理由は、一身上の都合だが、社長の奥様(専務)は人間関係に問題があったと。以前は井戸端会議ならぬ給湯室会議で、職場のストレスを発散していたが、今こうしたたまり場でしゃべる習慣がない。一緒にいてもスマホに見入り話しは上の空。小さな不満を解消し難くなった、とも。以下、彼女の言葉を続けよう。
朝の掃除や来客へのお茶出しなどで、女性社員は給湯室に出入りしていた。昼食を兼ねた会議や来客の多い日は、当番以外の社員も給仕を手伝った。休憩時間のそこは、たまり場だった。3人入ればいっぱいなのに、時には扉からはみ出て女子5人全員が集い、嬉々とした声が廊下に響くことも。扉を締めれば愚痴や陰口も口をつくが、シンクの排水と共に流れていく。そこは他言無用の暗黙のルールで守られていた。今はSNSで自由につぶやく割に不満は解消されず、むしろ蓄積される。陰口にいたっては歯止めなく続く。守りや浄化の場だった給湯室が静かになった今、彼女たちとの距離感が掴みにくくなっている…。
20年以上前、私がコンサルティングを始めた時から、社内の人間関係の相談はあった。どの会社にも通用する処方箋はないが、社員と社長の直接対話なら実践しやすく、比較的効果も出易いので推奨していた。最近も、とある社長が実践し、中途採用で入って1年目の社員と対話した。するとその社員は「気難しい上司に悩んでいます」と、打ち明けた。社長が間に入って諭すことは簡単だが、おすすめできない。気難しい上司の性格を簡単に変えることはできないからだ。ただ、そんな上司を持って悩んでいる社員に対し、この先ここでどのように働き、周りとの関わり方を変えていくかを手助けすることはできると社長は考えた。この社員ならその力がある、と信じた社長は、上司ではなく、彼自身に焦点を当てた対話を重ねた。この社員が自ら変わっていくにつれて、気難しい上司のことが、さほど気にならなくなることを期待して。
女性社員が人間関係を苦に退職し、今後の社風改善や一体化に悩む経営者。中途採用の社員の不満を聴き、彼の可能性をはぐくみ、それによって勝負しようとしている経営者。あなたの店や会社でも思い当たることがあるかも知れないが、このエピソードが自社独自の対処法を探るきっかけになれば幸いだ。

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株式会社ケンオリ
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