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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2023.11/vol.218

万引き心理

コンサルティング先で万引きがあった。書籍文具小売店でのこと。客数の少ない開店直後に入店してきた女性が何も買わずに店を出た後、店主が商品が無くなっていることに気づき、追いかけた。40代にみえる女性を路上で問いただすと、隠していた商品を鞄から取り出し「警察を呼んで」と、開き直った。憮然として謝りもしない態度に唖然とした店主は「もう店に来ないでください」とだけ伝え、店に戻ったという。店主に、警察を呼ばなかった理由を尋ねると、過去の話を聞かせてくれた。
以前、わざと見つかるように商品を店の外に持ち出した中学生(女子)がいたという。警察を呼ぼうと思ったが、捕まえてくださいと言わんばかりの行動だったので、事情を聴くことにした店主。しかし、万引きした理由を「自分でもわからない」と、繰り返すだけだったという。その後、迎えに来た祖母に女子を渡したが、翌日、あらためて母親が謝りに来た。丁重な言葉づかいと垢ぬけた身なり。裕福な生活を想像させる方だったらしい。結局、理由が分からずじまいだった店主は、知人の教諭に相談した。すると興味深い事例を紹介してくれたという。
それは教諭が小学5年生を担当していた時のこと。クラス内で持ち物を(盗んで)隠す事件が3回起きて、最期に犯人(同一犯)が分かったそうだが、3回とも、すぐ見つかるところに隠していたという。教諭によれば、わざと見つかるようにするのは「先生助けてください」のサインなのだと。そして、その多くは「お母さん、助けて」という意味で、自分を押さえて母親に気に入られようと振舞うことに疲れ、それに気づいてほしいという訴えだという。こうした気持ちを盗みなどであらわすのは問題アリだが、教諭としては弱いながらも自分から変わろうとしている子供を放ってはおけない、そう思ったと。
この話を聞いていたから、店主は警察を呼ばなかったという。子供と大人は別かもしれないし、確かに、中には病的なものや、ゲーム感覚の犯罪もあるだろう。ただ、先述のように動機はもっと深いところにある場合もあるのだ。
今回は読んでいて重い内容だったと思う。すでに万引き事件が起きている店と、そうでない店があると思うが、お客様の中には心の深いところに悩みを抱える人もいるということを頭の片隅に置いていただければ十分だ。

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