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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2023.10/vol.217

お客様に合わない商品は売らない

コンサルティング先の薬局のご主人は70代。すでにご子息に代表権を譲っているが、早朝から店の周りを掃除し、閉店まで店頭に出ている。お客様にきかれて「薬は何も飲んでいません」と応えると、決まって「さすが薬屋さん、でも何か身体にいいことはしてるでしょ」と、質問されるという。さて、彼の養生訓とは?
拍子抜けするかもしれないが、彼は「身体によくないことはしない」と、応えるという。これは、もともと健康なのだから、それを壊さないようにするだけで良い、という意味らしい。先般も通販で健康食品を購入し、ひと箱消費しないうちに止めてしまった顧客が、その商品を店に持参し「これより、効果があるものはどれ?」と、店主にスマホの画面を見せたらしいが、仲の良い顧客だったので軽くたしなめたという。
さて、話が横道にそれたが、このご主人の経営方針はご自身の養生訓「身体によくなことはしない」と似ている。それは、「お客様に合わない商品は売らない」だ。息子さんに譲る前のことだが、奥様や税理士さんから「商売っ気のない人だ」と言われていたことを私も知っていた。それでも未だに彼のファンが多い。彼の店頭での対応だが、たとえば、マスコミで話題になったオイルを扱っていた時に、小瓶が完売し大瓶しか残っていない時があった。終日お客様が来店し大瓶を求めようとするが、彼は他の店に小瓶の在庫を聞いて、お客様を紹介していたという。理由は、このブームは長く続かない、大瓶を買うと途中で無駄になると感じたからだ。もう一つ、便通に悩むお客様が薬と健康食品を求めて来店した時のこと。双方とも取扱い商品だったが、すぐに売らず、話を聴いたという。結局、お客様が良しとして続けてきた食習慣(玄米ご飯※食物繊維がかえって負担)を休み、その上で薬の分量を調整するように助言し、高額な健康食品は売らなかった。
すると、薬の服用途中で体調がよくなったそうで、報告がてら来店した時から、奥様が担当していた化粧品の顧客になったという。
店主の話を聴くと、あらためてお客様の立場に立った商売は大切だと気づく。情報過多の世の中で、一番大切なのは絞り込みと選択だろう。それらに長けているのはその道のプロに違いない。かかりつけ薬局と言われるが、改めてその存在意義に気づかされた一件だった。

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株式会社ケンオリ
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