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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2023.01/vol.208

いじらずに続ける商い

決算見せなくていいんですね…。これはコンサルタント駆け出しのころ、商工諸団体の簡易相談事業でうかがった店の店主の言葉だ。聞けば、1年前にコンサルティングを受けた時に嫌な思いをしたという。それは、同事業で来店した中小企業診断士(私も同じ)が、終始決算書をめくりながら数字の欠点を指摘、改善を求めたらしく、それは正論だったが叱られた感じだけが残り、やる気を無くしたことがあったから。
幸い私は、商店主の方々が決算分析から入るのを嫌がると諸先輩から聞いていたので、それには触れなかった。時々、数字に明るい店主が診断通りに行動し良い結果を出す場合もあるが、やがて数値設定や進捗管理が窮屈になると業績が緩やかに低下してくる。店主はうまくいった記憶を頼りに目標を再設定、更に厳しく管理すれば持ち直すと考える。しかし、これが悪循環を生み、人が辞める事態に発展することも。そこで初めて自分の間違えに気づくことになる。
23年間のコンサルティングで学んだのは、たとえ非効率でも、その店らしさを止めないことが、つぶれない店づくりのコツだということ。世間一般の数字を意識し過ぎると「うちの店の規模だとこれくらいは必要だ」と、型にはまり、大なり小なり商売の醍醐味をもたらしていた店主ならではの仕事や、うまくいくかわからないけど、とにかくやってみよう!という挑戦的な店主が、鳴りを潜めてしまう。これでは商いのやり甲斐がない。逆に、店主ならではの仕事、やってみたい!を行動に移しているうちは、意気揚々と商いが進む。だから、あれこれ手を加えず、店主らしさが色濃く出るように、できるだけいじらない。それが、今私が大切にしているコンサルティングのあり方のひとつだ。事実、坪効率が非常に高い小売店の中には人件費比率が業界平均をオーバーしているところもあるし、集客に貢献するメニューの原価率が異常値の店もある。それでも商いは堅調だ。
ちょうど決算が済んだ店主のあなた。数字を見比べて平均と乖離する項目があっても、それが自店の強みを支えるものであれば、いじらずに続ける商いを考えるのも良いだろう。税務の専門家には叱られるかもしれないが、強みの存在価値を誰よりも分かっているのは店主なのだから。

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