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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2022.11/vol.206

思い当たる一葉

化粧品店の女性店主から葉書が届いた。そこには、顧客の不思議な反応が腑に落ちなかったと綴られていた。
店主(50歳)より年上だが、気の合う顧客(未亡人)が来店した時のこと。雨天でお客様が少なく、2人で話し込んだという。正確には、店主が身の上話を聞いてもらったらしい。こんなことは初めてだった店主は、しばらくすると我に返り、申し訳ないやら恥ずかしいやら、思わず「ごめんなさい」と謝ったという。興味深いのはここからで、帰り際の顧客はずっと聞き役に徹していたにも拘らず、疲れた様子はなく、むしろ来店時よりも顔色がよく元気な印象だったという。店主は仕事柄、聞き手の苦労がよくわかる。どうしてだろう?と、あの時の顧客の表情や雰囲気が腑に落ちず、こうして葉書にも書いたのだ。
私は、その顧客が元気になった理由が何となくわかった。おそらく、店主の役に立てたことが嬉しく、気分が良くなったのではないか。大げさに言うと、自身の存在意義が再確認できたからではないか、と。そう感じたのは、病床の父を想い出したからだ。容体の落ち着いた時を見はからい、3歳の娘を連れて病室を訪れた時のこと。娘がベットにあがり、よたよたしているところに私が手を出しかけると、「大丈夫だ」と、父が私を制した。そして、自ら起き上がり額にしわを寄せて大きく眼を開き、孫に向けて骨ばった手をめいいっぱい伸ばして、ベットから落ちないようにガードした。
病室では、何から何まで誰かに「してもらう」生活だ。誰かのために何かをするということから遠ざかり、これからもないと諦めていたかもしれない。それが、孫のために自分ができることを見つけた途端、衰えた身体が反応した。これはすごいことだと思った。自分が守らなければという一心で、それが身体を動かし、一瞬、生気が蘇える。自分を頼る孫がいるだけで、父も自分がここにいる意味を見出したのではないか、そう私は感じていた。
先の顧客と父では立場が全く違うが、人は誰かのために役に立つと幸せを感じ、元気が湧いてくる点は同じではないか?店主と顧客の関係も、顧客に「してあげる=喜ばれる」のが一般的だが、逆に「してもらう=喜ばれる」こともありうる。昨今のボランティアやクラウドファンディングも、この心理が働いているのでないか?と、思った一葉だった。

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