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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2022.08/vol.203

自店に役立つニュースは、どこにある?

1年ぶりに彼女の店に行くと「A店が役所の近くに移転するかもしれない」「B社の社長が自社ビル2階に入ってくれる店を探している」「レストランの斜向かいの店(和食店)が忙しくなったのは出戻りの娘さんが手伝い始めたから」など、SNSには上がらない新鮮な地元情報を披露された。たまたま居合わせた古着店主が「パートを探している」と、相談すると、「知り合いの中古家具店でバイトしていた子が辞めるので聞いてみようか?」と、店の名前を挙げていた。なんと守備範囲が広いことか。
彼女がローカルなニュースに詳しいのはなぜか。それは、店の顧客に経営者が多く「今度…らしいよ」という話がストックされるから。これはありがたい。顔付きのニュース、つまり提供者の顔と名前が明らかなので、信憑性も高い。こうして得られた情報を自店に活かし、彼女自身も商業施設へ臨時出店、仕入れ先開拓、異業種とのコラボ、テレビ出演などを実現させた。昔の商店街には彼女のような情報通が数人いて、確度の高いニュースをやり取りしていた。今は匿名・非対面のニュースがあふれているが、行動に結びつく、つまり自店に役立つそれは、意外と少ないのではないか。
ところで彼女、コロナ禍中に体調を崩してしまった。聴けば、各種一時金申請を契機に四六時中スマホを操作するようになり、ついでに情報収集とばかり、複数のニュースアプリをダウンロード。気づけばアプリを開くのが日課になり、ニュース漬けの日々。商売に役立てるつもりが、大量のそれを読むことに労力を費やし、ついに具合を悪くしてしまった。嘘のような、本当の話だ。
今では、店以外でのスマホタッチを減らし、ニュースアプリは削除。体調も回復している。彼女の言葉で印象的だったことがふたつある。ひとつは「ネット上のニュースには(自店に)役立つ情報はなかった」。ふたつめは「読むだけで、いっぱいになり(自店に)、どう役立てるか、考えられなかった」。ニュースを沢山摂取すれば知識は増える。でも、肝心なのは自店に役立つか否か。その判断を後回しにして、あるいは判断する力を削がれてまで情報を摂取し続けるのは、愚の骨頂と言いたかったのだろう。
さて、彼女の話を聴いてから、ネット上のニュースに触れてみた。もともとニュースは紙と耳からとることが多かった私。開き始めると、次々と紐づけられ、きりがないことに気づく。気づけば長時間拘束されていた。なるほど、これは危険だ。ずいぶん前に、デジタルデトックスについて書いたが、今号も、時間と健康を消耗しない情報の摂り方を考えるきっかけになれば幸いだ。

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