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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2022.07/vol.202

饒舌な時は、うまくいかない

開業後、しばらくしてから気づいたことがある。それは、私が饒舌な時は、コンサルティングがうまくいかない、ということ。理由は、相手(店主)が私を気づかい、話を合わせている状態だから。店主が悩みを話し切り、私がそれを聴き切らないとコンサルティングにならない。今ならわかる。当時の私は、自ら準備した応えを話し切ることがコンサルティングだと思い込み、店主のうなづく姿を、満足のサインだと勘違いしていた。あの、うなづき。それは、早く話をまとめて終わりにしたいというサイン。恥ずかしい限りだ。
話を聴くには、どうすればよいのか。当時、若輩だった私は、店主にお会いする前に、今の悩みを紙に書いてもらうことにした。知りたいのは、主訴。たとえば医者と患者のやり取りで「どうしましたか?」と聴くと「寒気がして風邪かもしれません」と応える。本当に風邪なのか、診察しなければわからない。この患者の第一声が主訴。私は、事前に主訴を聴きだし、徐々に核心に近づこうと考えた。
さて、この主訴。枠をはみ出すほど書く店主もいれば、サラッと1行で済ます方もいる。前者が深刻かといえば、そうでもない。会ってみると、後者のほうが沈黙が続く、という場合もある。また、実際に会うと主訴と違う話になることが、半数近くある。店主は孤独だ。諦めや恥ずかしさなどから、自身の深部を言葉にすることに抵抗があり、あたりさわりのない主訴で隠してしまうのだろう。たとえば、集客に悩んでいる、という主訴。会って話を聴くと、集客の術があるのに、役員(先代)に反対され実践できずにいる、と打ち明けられたこともある。核心は、人の問題だった。
さて、継続的にコンサルティングする場合に気を付けていることがある。それは、急がないこと。傍から見て、売れる仕組みや社内の人間関係改善策がわかると、つい行動をせかしたり、手伝いたくなるが、急かすと、おうおうにして良い結果を生まない。仮にスムーズに進んでも、どこか無理をしていると考えたほうが良い。店主ご自身が解釈し、納得するのを待つ。それから動くほうが、断然うまくいく。堂々巡りや、沈黙、振り返りなど。一見非効率でも、聴き切る時間を惜しまないコンサルティングのほうが、店主や店舗に無理のない変化が起き、定着する。これも経験則だ。
今日の話は、店主と従業員、親と子に応用すれば、その関係改善にも役立つのではないか。自分が饒舌になったとき、自分のペースで進めたときは要注意。心当たりのある方は、まず、急がずに待つ、そして耳を傾ける姿勢を実践してみてはどうか。

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