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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2022.06/vol.201

頷きと相づち

先般、新幹線の待合室でテレビに目をやると、コロナウイルスについて政治家が討論中だった。ところが、お互いに聴く耳をもたず、発言中に別な人が言葉をかぶせるなど、喧嘩腰のやり取りにがっかりしてしまった。こうなると、肝心の討論内容が耳に入ってくるはずがない。スタジオで彼らの発言を聴いていたのは、司会者だけではないか。ところで、彼らとは真逆の姿勢で顧客の話を聴く化粧品店店主の事例を「避雷針店主」というテーマで紹介したことを覚えているだろうか。今日はそれに関連する話をしよう。キーワードは「頷き」と「相づち」。
「避雷針店主」の接客場面の振り返りを。家族の愚痴をこぼす女性顧客との接客時間は30分以上だったが、その間、聞こえてきた店主の声は、「そう」「そ~なの」という相づちだけだった。それも、居るのかな?と思うくらい数少なめ。おそらく、相づちの合間には、それを上回る頷きがあっただろう。なぜ頷きや相づちだけだったのか?それは聴き手である店主が、話し手である顧客の話に集中すればするほど、言葉が出なくなるからではないか。
実は私も、コンサルティング中に店主の話に集中した時に、頷きや相づちを返すことで精一杯な時がある。と言っても、普段の対話で、頷きや相づちを意識することは殆んどないだろう。頷きや相づちしか打てない状態と言われても、ピンとこないかもしれない。しかし、店主の接客風景や、コンサルティング中の店主の様子を振り返ると、頷きや相づちが、やり取りの質や方向を変える力を持つのではないか、と思えてくる。そして、話を聴いて言葉を返すことに意識を集中するのではなく、とにかく話を聴き届けることに集中し、その結果、初めて生まれてくる、何とも言えない安心な意思の疎通があるのではないか?と。
ところで、冒頭の政治討論だが、ほんの少しでもお互いに相づちや頷きがあればスタジオの雰囲気が変わったかも知れない。激論を期待する視聴者には期待外れだろうが、自分の考えを語り切るだけでなく、相手の考えを聴き届ける余裕を持てば、新たな解釈を生み、建設的な討論になったはずだ。
ちなみに、この話を貴店に活かすとすれば会議や接客場面が浮かぶだろうが、老婆心ながら、一番役立つのは家庭内かもしれない…。

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