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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2022.02/vol.197

「何を言うか」より「どんな気持ちで言うか」

今日は接客に関する話をしよう。結論は、商品を買ってくださったお客様に「何を言うか」より「どんな気持ちで言うか」が大切で、同じ意味合いの言葉をかけたとしても、その気持ち次第でお客様が抱く印象が異なる、というもの。時計店の接客事例を紹介しよう。
この時計店は住宅地を背後に持つ食品スーパーがキーテナントの商業施設に入居している。職域販売などの外商から商いを拡大させ、現在は創業社長と夫人、そのご子息(専務)が店頭に立つ。5月下旬のコンサルティング時に、ちょうど年配のご夫婦が来店した。その奥様のほうがなじみ客だったが、社長夫人が未だ出勤していなかったため、コンサルティングを中断して専務が接客した。今日は定年退職されたご主人が奥様をねぎらい時計を奮発するとのこと。最終的に奥様が選んだのはダイヤモンドの文字盤の国産腕時計だった。店奥のソファに掛けていただき、愛娘は1年前に大学を卒業し就職したことや、ずっと社宅住まいであること、県外支店に3年間勤務した時は単身赴任だったことなど、家族の歴史をお聞きした。専務はご主人を「30年間本当にお疲れ様でした」奥様を「内助の功、お疲れ様でした(時計のプレゼント)良かったですね」と、満面の笑みで労った。そこに遅れて出勤してきた社長夫人が加わり、同じようなやり取りが繰り返された。時折うなづきながら黙って聞いていた夫人は「30年間お疲れ様でした。ご苦労もあったと思いますが、今、本当にお幸せですね」と、しんみりと労いの言葉をかけた。
専務と夫人どちらもお客様を労う言葉をかけたわけだが、傍でお客様の表情をうかがうと、夫人の言葉に耳を傾けていた奥様の身体の動きが一瞬止まったことに気づいた。その後夫人にゆっくり頭を下げる姿が見て取れた。専務の言葉がお客様の心に届かなかったわけではないが、感情移入で勝る夫人の言葉「…今、本当にお幸せですね」がお客様の琴線に触れ心を動かしたのは明かだった。
外部環境が味方をしてくれた時代は8の力で10売れたが、今は店も商品も余る時代なので10売るには20の力が必要だ。それでは、商店はどこに力を入れれば良いのか?優先順位が高いのは接客だろう。この時計店の夫人のように感情移入が自然にできるのは、やはりファンを多く持つ店主だろう。それをカンニングすれば「せっかくだから、あなたから買いたい」と、従業員にもファンが増えるはずだ。

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