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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2021.05/vol.188

店主の覚悟と商売の成果

コロナマンネリ。それは、待つことに慣れ、決断を先延ばし、動くタイミングを逃してしまうこと。人との接触が少ない業態や最寄り品を売る業種は繁忙。実店舗や買回り品を扱う業種は閑散。マンネリに陥るのは後者に多かった。
しかし、例外もある。東北沿岸部の実店舗で買回り品の小売店を営む店主は、早々に三密回避を逆手にとった戦術を練り、催事も中止せずに開催。結果、コロナ禍前より売上を伸ばした。コロナマンネリに陥らず果敢に行動できたのはなぜか?店主を支え続けたのは、2011年東日本大震災の津波と2016年台風10号洪水、これらに被災した時の「覚悟」だ。
想定外の逆境が続き、周辺では従業員を解雇、廃業する店も多かった。幸い、この店の従業員は全員無事だったが、店主は苦悩し、複数の選択肢を抱えたまま店に出続けた。そんな中、不便な生活を強いられながらも、仮設住宅から店に通い、黙々と店を片づけてくれる従業員の姿が目に留まる。心境を察してか、こちらを気づかう言葉をかけてくれることもあったという。彼らと過ごしながら、選択肢を絞り込んだ店主。「店を続けよう」。これは、従業員の雇用を守ることでもあり、楽ではない選択だ。なぜなら、雇用を守るには、それ相応の仕事をつくりださなければならないから。間もなく店主は、その「覚悟」を決めた。コロナ禍に屈せず、マンネリにも陥らずに商いに向き合えたのは、あの時の「店を続けよう」という覚悟が揺らがず、続いていたからだと思う。
2020年晩夏には「決算の売上は101%と、かろうじて昨年をクリア」。また、中元商戦では「推奨商品の販売がボランタリー加盟の単独店舗で全国一位!」と、文字の踊る手紙が届いた。秋の恒例催事も①営業時間を短縮し、その分清消毒を徹底。②催事期間を延長したところ、前年まで足を運び損ねていた方々の来店が増加。また、顧客の来店が分散し接客にも余裕が生まれ高額品がよく売れた。③マス広告を中止、特売を控えたことでコストダウンを実現。三密回避の①②③戦術によって、前年比売上106%、客数122%と伸長。続く年末催事も同戦術により、売上103%、客数106%。便箋をめくるたび、商売の醍醐味を満喫したことが伝わってきた。
手紙の後半には、次の催事への段取り、意気込み、自信、待ち遠しい気持ちをうかがわせる言葉が、大きな文字で記されていた。最後まで読んだ私は、商売の「成果」について考えた。一般に、売上や客数に目がいくが、店主とのやり取りで、数字を超える成果に気づいた。それは「商売を続けたくなる」ということ。そして今、商売を続けたくなるという成果が、店主の覚悟を継続させる「糧」になっているに違いない、とも感じている。

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