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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2020.06/vol.178

守=あり方

2020年の春は、メールでの相談が多かった。見たこともない月次が続き、落ち込む店主が大半だったが、中には開き直って戦術や戦略を練り直す方もいた。こう聞くと、生活者の変化に合わせた新商品・サービスを考えたのだろう、と思うかもしれないが、そう簡単には見つからない。彼らとのやりとりで感じたのは、まず、自店で大切にしている姿勢、あり方を守っていこうという意志だった。記憶に残った彼らの言葉を紹介しよう。
まず美容室店主だが「満足保証サービスがあるのは当たり前。でも、それが当たり前に利用されているサロンは少ないと思う。帰り際に、必ず伝えようと思う」多くの美容室には、パーマやヘアカラーのやり直しなど、満足保証サービスがある。しかし、お客様が遠慮し利用されていない。やり直しにならないのが理想だが、お客様が遠慮せずに言い出せる雰囲気を大切にしたい。新規集客に目が行きがちな業種だが、こちらの店主は既存サービスを丁寧に周知し既存客に卒業されない店づくりを再確認していたのだ。
次に、菓子店の店主だが「開店時間前にみえるお客様が増えて、準備も30分以上早くなりました。お昼前、商品が売れてほとんどない時に来店したお客様に“残り物は嫌だけど、最後のひとつは大好き、間に合って良かった”と言われ、ハッとした。手間はかかるが、やはりこまめに作ろうと思った」謙虚な店主は、お客様に合わせて開店を早めたり、様子を見ながらこまめに製造し出来立てを追加している。人気店になると、自店の都合を優先しがちになるが、彼のように手間を厭わない姿勢は、売場や商品を通じてお客様に伝わり、店の格付けを上げるだろう。
最期に呉服店「泥水も、放っておくと下に土が沈んで上澄みが透けてくる。どちらに泳ぐか、その後に決める」彼が言わんとしたことは、スピードよりも方向が大事。慌てずに行こう、ということ。百戦錬磨の70代店主ならではの言葉だった。
店主たちとやり取りしていたら、守・破・離が頭に浮かんだ。新たな戦術や戦略に打って出るのを破・離とすれば、その成否は基本の「守」に依る。今まで彼らは、守→破→離→守→破→離と、守を起点に商いの変化を繰返してきた。だから、この禍後に商いを模索する時も、自然と商いの基本である「守=あり方」に戻り、再確認していたのではないか、と。

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