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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2020.05/vol.176

一本取られた

以前このコラムで、宿を重複予約していたことを気づかぬ私のもとへ不泊だった宿の支配人から手紙が届いた時のことを紹介した。ルールどおりキャンセル料の請求と思いきや、こちらを気づかう中身だった。一本取られた私は、翌月からこのホテルに切り替え10年にわたり100泊以上お世話になった。こうした対応はサービス業だけの真骨頂ではない。物販店の事例を紹介しよう。
お付合い先のアクセサリーショップに「何もしないのに石が取れた」と女性客がストラップを持ってきた。それは買ったばかりの3千円の商品だった。店主は即座に謝り、お客様を待たせたまま作業場で商品の状態を調べた。確かに留め具のひとつが曲がり小さな石がひとつ外れて無くなっていたが、何もしないのにこうなるはずがない。おそらく、ぶつけるか引っかけた拍子に曲がったのだろう。作業場から戻った店主は曲がった原因を追求せず、商品の状態だけを説明し「こちらで無料修理します、明日の夕方までには仕上がります」と伝えた。本来なら同じ石を購入していただき数百円の修理代を請求するところだが店主は買って間もなく壊してしまった女性客を気の毒に思い無料で直すことにしたのだ。
翌日の閉店間際に先の女性客が見えた。店主が商品をとりに作業場に行こうとすると「すみませんでした」と引き留められた。彼女は、あれからストラップを無理に引っ張ったことを思い出したという。ばつが悪そうに謝る彼女に笑顔で商品を渡すと、スッキリしたのか表情が明るくなった。
お気づきだと思うが、この女性客は初めから「あの時かもしれない」と心当たりがあった。でも、粗相をした自分が許せなかったのか、修理代が高いのではと心配したのか、思わず「何もしていないのに」と口
にしてしまったのだろう。もちろん、一本取られた彼女は今も店に顔を出している。
さて、こうした対応がお客様との距離を一気に縮めることは間違いない。あなたの店でもルールやマニュアルを超えた対応をした時に、お客様から感謝され、何とも言えない清々しい気持ちになったはず。こ
の事例で思いあたることがあれば皆で共有してみよう。あなたの店から「一本取る」サービスが生まれるかもしれない。
(2018年3月10日執筆)

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