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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2019.12/vol.172

さばく威力

出刃包丁、腕まくり、前掛け、長靴、アラで満タンな青いポリバケツ、全てを見せて黙々と魚を「さばく」姿を想像してほしい。窓越しに上半身だけ見せて手際よく魚を「下ろす」食品スーパーはあっても、「さばく威力」にはかなわないだろう。それは懐かしいというより惚れ惚れする魚屋の姿。店主も「見られているから、張り合いがある」と、お客様の視線をエネルギーに変えている。この店は前回紹介した鮮魚店。今日は同店のバースデーDMの反響について話そう。
DMの中身は直筆メッセージ、花の写真、DM持参で惣菜がもらえる特典というように、奇をてらう中身ではない。夏のある日、DMを受け取った顧客がお酒を手に来店したという。お酒は店主への差し入れだった。その日の購入金額は3万円を超え、平均客単価の18倍以上だった。店主はこの顧客を特別扱いしてきたわけではない。ではなぜバースデー特典を受け取るだけでなく「いつもありがとう」と、店主にお酒を贈ったのだろう?バースデーDMがよほど嬉しかったのか?どうも腑に落ちない。店主に顧客との過去のやり取りを聞くと「手間をかけているね」と褒められた時のことを嬉々として語ってくれた。これだと思った。購入するのは商品だが、お客様は商品を通じて店主の仕事ぶりをちゃんと見ていたのだ。おそらく来店の度に「さばく威力」を目の当たりにし、一所懸命に働く店主の姿に感動していたに違いない。だから「いつもありがとう」と、あのお酒は労いの1本だったのだ。
さて、山間部の狭小店舗で鮮魚店を営む店主と顧客のエピソードを紹介したが、あなたはこの事例から何を学ぶだろう?先の顧客に感情移入して欲しい。さばく威力に感動した時の店選びは「どの店に行くか」ではなく「誰の店に行くか」だ。この鮮魚店では店主の魅力でお客様を惹きつけていが、店によっては専従者や他人従業員の魅力がお客様の琴線に触れ、お客様を惹き付けているかもしれない。繰返すが、お客様は商品を通じて働く人を見ている。人が納得されれば信用がつく。あとは信用を汚さぬよう倦まず弛まず働く。この緊張感は店主をはじめ働く方々を律すると共に、人としての魅力を更に磨きこむエネルギーになることだろう。
(2019年2月24日執筆)

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