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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2020.12/vol.183

うまくいく応えは従業員がお持ち

「うまくいく応えは店主がお持ち」このセリフは何度かコラムに登場しているが、今日は「うまくいく応えは従業員がお持ち」だ。ベーカリーの客単価アップ事例をみてみよう。
客単価アップの戦術として、はじめに店主が考えたのは。2個分の値段で3個購入できる企画。ひとつ100円のパンなら3個で200円だから33%引きになる。この3for2(スリーフォーツー)の良いところは、割引率を強調せずにプラス1個を促せるところ。店主はこれを参考にパンを5個買ったら1個サービスする企画を実践した(食パンなどの食事パンを除く)。周知方法は店頭看板と店内POP。1週間限定でやってみると客単価は28%(前年同月比)伸びた。その内訳だが、ふだん少ししか買わないお客様が5個以上購入するより、いつも5~6個買うお客様が「10個買ったら2個?15個なら3個サービス?」と、大量購入するケースが多かった。これは想像の範囲だと思うが、興味深いのはここからだ。
店主はこの期間中、頻繁に売場を覗いていた。気になったのは、トレー上のパンを落とさないように、そっと歩くお客様の姿。後日店主はパンを沢山のせたお客様がいたら、トレーを引取に行くよう従業員に指示した。しかし、もっとパンを追加したいかもしれない、見極めが難しいという理由で従業員から反対された。
その後、食パンなど大きなパンをのせたお客様を見つけたら、その大きなパンだけをトレーからお預かりするのはどうか?と従業員から持ち掛けられ、早速実践した。すると、お客様から喜ばれるだけでなく、購入数量つまり客単価が増加したのだ。おそらく、トレーに空間が生まれると、それを埋めようという心理が働き、自然とパンを追加したのだろう。従業員はこれを「埋める法則」と名付けたが、ホテルの朝食ブフェで皿の空間が見えなくなるまで盛り付けるのと似ている。
冒頭の「うまくいく応えは従業員がお持ち」だが、今回の応えは「大きなパンだけを預かる」だった。店主だけでなく全員で応え出しを続ければ、商いの醍醐味が尽きることはないだろう。

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