「渡辺」姓は全国に100万人以上おり、6番目の多さという。福島県は人口1,000人当たりの比率で約58人と山梨県に次いで第2位となっている。さらに市区町村単位の人口では福島市が約10,000人で第1位、郡山市が約8,400人で第4位と、なかなの密度だ。
『渡辺さんは節分に豆を撒かない』という話をご存じだろうか。平安時代の武将渡辺綱が鬼退治した伝説により、渡辺家には鬼が寄り付かないからだと言われている。福島市や郡山市は豆まきのない静かな節分の夜を迎える家が多いのかもしれない。
豆まきの風習といえば、二本松市も風変りだ。「福は内、鬼は外」と言わないのである。掛け声は「福は内、鬼外」。江戸時代の二本松藩主が丹羽様で、「おには外」が「お丹羽外」に聞こえてしまうことを憚ったためという。
節分は立春の前日、新しい春、新しい一年を迎える前の晩である。1年分の邪気を祓い、新しい春の健康と幸運を祈る儀式が豆まきだ。そう思えば、鬼の来ない家も、鬼は、と言えない家も、「コロナは外！」と豆を撒くのはいかがだろう。