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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2023.07/vol.214

自然に任せる

連続セミナーの休憩時間に、商店主に交じって聴講していた銀行の支店長から声をかけられた。融資先の美容室店主から「同じ店で働く息子夫婦の仲が悪くて」と、相談され、2人に会いに行く前に私の意見を聞きたいという。
仲が悪くなった原因だが、ひとことで言うと経営方針の違いだ。この店は和やかに対話を楽しみつつ施術するスタイルで、奥様もこれにならって働いていた。しかし、1年半ほど前、ちょうど息子(店主の孫)が美容師を目指し専門学校に通い始めた頃から施術や接客を急ぐようになり、ご主人とぶつかることが増えた。テキパキした施術と接客で回転率は向上しそうだが、いつもと違う態度は顧客にも伝わり客離れが起きるのではないかと心配した店主。なぜ、奥様の態度が変わったのか?それは、息子が卒業したら一緒に働きたいと思ったから。せっかくだからリニューアルもしたい、それには資金も必要、、もっと稼がなければと、回転重視の施術に切り替えたのだ。
さて、支店長だが、まじめな彼は、よし、任せておけと、仲裁するつもりだった。しかし私は、ご夫婦には会わないほうがいいと伝えた。その理由は、本人(ご夫婦)がそれを望んでいないからだ。実際、先の店主は支店長に相談したことを2人に内緒にしていた。仮に、支店長が会いに行っても、表向きは大人しく頷くだろうが、翌日には元に戻る可能性が高く、火に油にもなりかねない。
さて、この話には後日談がある。数か月後に支店長からメールが届き、あの時会わなくて正解でした、専門学校を卒業したご子息は、結局、実家に戻らず県外の美容室に就職するようです、と。奥様は落胆していたが夫婦仲は落ち着き、店主もホッとしているという。
コンサルティングでは家族従業員に関する相談もあるが、一筋縄ではいかない。口を挟まなければ良かったという失敗談もあり、善意や老婆心をあえて封印し、そっとしておいたら自然と解決するものだ、ということも学んだ。今回も息子さんが県外に就職し、自然と収まったではないか。あなたも一度、自分に起きた困りごとと、その解決のプロセスをふり返ってみてほしい。八方手を尽くしたがうまくいかず、諦めていると、考えもしなかったことが起きて自然と解決されたことを思い出すだろう。すると、初めから触らずにおく、自然に任せることも、ひとつの選択肢だと納得するのではないか。

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