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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2023.04/vol.211

プレゼン上手に惑わされてはいけない

創業支援を続けてきて、気づいたことがある。それは、プレゼン上手が商売上手とは限らない、ということ。創業塾などの締めにはビジネスプラン発表会がつきもの。高評価を受けるのは、しっかりしたビジネスプランを持つ方に限られる?いや、そうではない。プレゼン上手も高評価を得やすい。プレゼン能力がビジネスプランを補う、といえばスマートだが、コンサルを始めて間もないころ、プレゼン上手に翻弄され反省したことがあった。
プレゼン上手とは、面構え、身振り手ぶり、声が好印象で、弁が立つ方。事業は人なり。人を観て行く末を想像するのは悪いことではない。好印象のプレゼンの主を周りが推したくなるのは自然なことかもしれない。しかし、一部の職種は別として、創業後はプレゼン能力で集客するわけではない。問題はその中身。ここが大事なところで、講師として関わる私は、あの出来事以来、惑わされてはいけない、と、書類に目を落とすことにしている。それは商工諸団体主催の創業塾に出講した時だった。
受講生は15人ほど。終盤のプレゼンの中で記憶に残ったのは、すでに脱サラし飲食店開業準備中の30代男性。私以外の講師と受講生の注目を集めていたのも彼だった。受講生の多くは今後の計画を発表していたが、彼だけは既に出店場所を押さえ、メニューも具体的。つまり進行中の計画を披露していた。そして何より、プレゼン上手な彼。多店舗展開の経営方針や販促戦術などを滞りなく言葉に変換し、聴講者を前のめりにさせていた。
半年もたたないうちに、当時の担当職員の方から彼が店を出し、流行っていると知らされた。予想を裏切らない展開に職員の方もご満悦で、私も嬉しかった。1年後の創業塾には彼が創業体験発表で登壇し、近々2店連続出店すると意気込んでいた。ところが、この年をピークに翌年末には全ての店を閉じてしまった。出店攻勢に人(従業員)の成長が追いつかなかったのだ。
人が育たないうちは店を増やさないほうがよい。これは至極当たり前のこと。ただ、創業時は勢いがあるので、順境であればあるほど、当たり前をないがしろにしてしまう。プレゼン上手な彼を前に「彼なら守ってくれるだろう」と。私は、当たり前の念押しを控えてしまった。
あれから、プレゼン上手に惑わされてはいけない、と肝に銘じている。では、ビジネスプランを純粋に評価するにはどうすればよいか?先述の通り、真価を発揮するのは書類だと思う。言葉を聴く前に文字で読めば冷静な判断が促される。ところで、TVショッピングでの衝動買い、これもプレゼン上手のせいに違いない。カタログ(書類)だけなら買わずに済んだのに、と後悔しているのは私だけではないはず。

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