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たかはしこうじのマーケティングスパイス

2021.04/vol.187

売れた記憶にご用心

「もっと高いものが売れていると思った」これはアクセサリーショップを営む店主の言葉。この店は6月以降、入店者数は変わらないが(買上げ)客数が微減。そこから回復せずに9月を迎えようとしていた。店主は当初、競合店が原因だと考えていたが、往々にして不振の原因は内部にあるものだ。この店も同じで、店主があることに気づき行動したところ、10月から12月にかけて客数、売上、客単価の順に少しずつ上向いた。短期間で計数が好転したのはなぜか?応えは簡単。品揃えに販売データを活かしたのだ。
実は店主、販売データを見ることをサボっていた。なぜサボってしまったのか?理由は「売れた記憶」が関係している。売れた記憶とは、値段の高い商品が売れた時の記憶のこと。この店では3月下旬から5月上旬の1カ月半で98,000円の高額商品が例年になくよく売れた。店主にはその時の記憶が強く残り、98,000円よりかなり下の価格で沢山売れていた商品があったにもかかわらず、その価格帯の品揃えを疎かにしていた。すると、お客様が店に来も、欲しい価格帯に商品が無いため、お客様は買えずに帰っていた姿が想像される。
店主とのやり取りを具体的に話そう。意地悪だったが、データを見る前の店主夫婦に6月~8月に9,800円から98,000円の商品で動きが良かったのはどれですか?と質問したところ、二人と29,800円と応えた。そこで実際の販売データを確認してもらうと29,800円前後の商品はあまり売れておらず、動いたのはその上の39,800円のペアアクセサリーが少量。そして最も動きが良かったのは、その下の9,800円から19,800円の価格帯の商品だった。先述の通り、店主は98,000円の商品を売ったときの記憶が強かったため、売れ行きの良い価格帯も、実際よりも上だと思い込み、結果としてお客様が望む価格帯の商品が品薄になっていたのだ。
ギャンブル好きの人は勝った時の話しかしない。また、大勝ちすると小さな勝ちでは満足できなくなるという。ギャンブルと商いは違うが、大きく勝った時も高額品を売った時も非常に興奮し、記憶に強く残る点は共通している。商いのデータは過去のもので、妄信するのは良くないが、興奮している時ほど冷静なデータが役に立つことは再確認しておこう。

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