2026.02/vol.245
「こうあるべき」で商売しない
鮮魚店からの報告を聞いてほしい。
4月3日、13日、23日この3日間で、月商の約3分の1を売り上げた。客数は昨年同期比117.4%。惣菜系は毎回エビ天3本を500円。サクラマス3枚は500円なら利益が残る。揚げ物は20枚以上予約が入るようになった。気を付けているのは油の鮮度。業者が驚く基準で交換している。惣菜強化の狙いは鮮魚販売につなげること。御用聞き・配達も抜かりない。1軒当たり数千円から多いときは1万円分の受注が定着した。
先般の催事では町の名士も行列に並び、町で行列を見たのは初めてと驚かれた。1,080円弁当は1,500円でもいいと言われる。3月は500個弱を受注。これが大きかった、など。人口減少が続く山間地にある狭小店。このコラム既載店の近況だ。
数字は全て右肩上がりではないものの、外出しにくいこの4年間は客数が減っても単価で補うなど大健闘。店の存在価値は更に高まっている。改めて店主の商いを俯瞰し、気づいたことを3つ書き出してみた。
①売りたい商品を売る:魚屋だけど肉の惣菜も売りたい。なぜなら、売ってみたいから、というのが彼の考え。下処理や調理で差をつける自信があるのだろう。商品が売れないと嘆く店主仲間を「売りたい商品がないのでは」と、一刀両断したことも記憶に新しい。
②アンテナを張る:彼はうまくいっても余韻に浸らず情報収集に余念がない。だから「お客様の声」を聞き流さない。例えば弁当が欲しいという声。忙しいを言い訳にせず実践する謙虚さは創業間もない店のようだ。
③マイナス発想をしない:経営者の発想は参入スピードを決める。マイナスに触れたときは手が止まる。彼は常にプラス発想。どうしたらもっとうまくいくかを手を動かしながら考えている。だから御用聞きもタイミングを逃さず参入し、顧客を増やすことができたのだ。
ふと思ったのが「こうあるべき」で商売すると「本当はこうしたい」がわからなくなるということ。商いに慣れると「こうあるべき」という思いに抑えられ「本当はこうしたい」という自分が前に出にくくなる。彼にはその心配はないわけだが、その秘訣は先述の3つに+αがありそうだ。この続きは決算後の彼の報告を聴いてから書くことにしよう。
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245「こうあるべき」で商売しない
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244声で伝わる人の良さ
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243心境の変化

