統計
まんじゅう支出金額
福島は菓子類の支出が全国的にも高い。そのなかから今回は「まんじゅう」に注目してみた。
福島のまんじゅうといえば、やはり日本三大まんじゅうのひとつにも数えられる柏屋の「薄皮饅頭」が代表格だ。創業は1852年。当時、東北地方では皮付きの粒餡を厚い皮で包んだ素朴なまんじゅうが主流だった。そんななか、初代・本名善兵衛氏は「病に薬がいるように、健やかな者には心のなごみがいる」という想いから、餡をたっぷりと詰め、皮をできるだけ薄く仕上げたまんじゅうを考案し誕生したのが「薄皮饅頭」である。
郡山は、江戸から奥州を結ぶ五街道のひとつ・奥州街道の宿場町として栄えた地である。旅人たちが行き交う中、柏屋は茶屋を開いて休息と甘味を提供し、人々の疲れを癒してきた。その伝統は現代にも受け継がれ、旅人や地元の人々に親しまれ続けている。薄皮饅頭は自宅用のお茶菓子としてだけでなく、贈答品としても高い需要を保っているのは、その長い歴史と信頼の証といえるだろう。
さらに会津地方では、「あわまんじゅう」や「まんじゅうの天ぷら」など、地域色のあるまんじゅう文化が根づいている。祝い事や祭りの際にまんじゅうを食べる風習も多く、まんじゅうは特別な菓子ではなく、日常生活の中に自然に溶け込んだ存在となっている。
このように、福島県ではまんじゅうが単なる和菓子ではなく、人々の暮らしや心をつなぐ食文化として息づいている。その背景には、地域の歴史、風土、そして人々の温かい気質が深く関わっているのだろう。

出典:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)調査結果」( 令和4年~令和6年 平均)

