福島県は漆製台所・食卓用品出荷額全国第2位。1位の福井県、3位の石川県と合わせ全国の9割近いシェアである。
福島県の漆器と言えば会津塗。縁起の良い意匠や多彩な加飾の美しさが特徴で、松竹梅、破魔矢の組合せは会津絵と呼ばれている。
会津塗は蒲生氏郷入封の折に近江から木地師、塗師を招いたことにより産業として発展する。湿潤な気候や豊かな森林資源に恵まれた土地柄で、江戸時代は歴代藩主の保護もあって一大産地となり、幕末には外国に輸出されるようになった。高級品として知られる輪島塗も、もとは会津から塗師を招いたことに始まるという。
戊辰戦争で壊滅的な打撃を受け生産量が減少したものの、その後復興。大正時代には機械化の導入で、高級品と日用品の両方が生産され、需要がますます増加することになる。会津塗はとくに使いやすさを追求した実用品の人気が高く、現在では洋食にも馴染む漆器やカトラリーなども注目を集めている。