2022.03/vol.198
好きなことを繰り返す
店主には得手不得手があり、同じ業種でも商いの仕方は様々だ。うまくいっている店主は早い時期から自分の目利きを商いに取り入れ、着々と行動を重ねてきている。そんな彼らは独自のルールを持っている。例えば、生活者は「好きなことを繰り返す」というルールだ。
当たり前のルールに思えるだろうが、あらゆる商品やサービスに当てはまる。ラーメン好きな人は年中ラーメンを食べているだろう。しばらく食べないと恋しくなり、月イチ、週イチと習慣にしている人もいる。反対に嫌いなものは特別な努力をしない限り口にしない。お客様が何を好きなのか?それが分かれば品揃えにプラスになり、好きな人を集めた分、商いが膨らむ。
では、お客様の好きなものを知るにはどうずるか?それは持っている(購入している)ものの値段や数を聞けばよい。数万円もするスニーカーを持っている人はスニーカー好きな人。何足も持っていて、次に買うものも決めている。先週伺った靴店の店主も、ブーツ好きな人は何足も買うし、次に買うブーツも決めていると言っていた。それにしてもブーツは場所をとるわけで、彼はブーツの保管サービスも提案していた。ヘビーユーザーと販売以外で接点を持つ狙いもある。今後はブーツ以外を預かることや他店で購入した靴も積極的に持ち込んでもらう仕組みも検討している。積極的に?その理由を訪ねると、お客様が自店で購入した「買物データ」だけだと、好みを把握するには足りない。そこに他店での購入品を加えれば「持ち物データ」が揃い、次の靴を提案し易くなると考えたのだ。
この靴店では靴の引取サービスも検討中だ。それは不要な靴をサービス券などと交換に引き取る企画だが、持ち込まれる靴を見ればお客様の好みの変化も推測できる。好きな靴は残したい(預けたい)、そうじゃない靴は処分したい(引き取ってもらいたい)。双方を現物確認しつつデータ化すれば、今後の品揃えやお客様への呼びかけ(販促)に自信が持てると考えたのだ。
今日は「好きなことを繰り返す」という当たり前のルールから、保管サービスや引取企画を発想している靴店を紹介した。このコラムを契機に、あなたの店にある当たり前のルールを復習してみてはどうか。そこから新たな売れるしくみに気づくかもしれない。
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