2019.02/vol.162
売り急いではいけない
年末に個人事業主が集う会合に出講させていただいた。お開き後に、主催者から伸び盛りの女性店主を紹介された。彼女が扱うのはドラッグストアでは買えない化粧品。ブランド間の競争も激しい中で支持を集め続けるには秘訣があるはず。そこで、仕事で大切にしていることは?と聴くと「まず、やってみることにしています」他には?「はじめたら、続けることにしています」とのこと。最後に、続けることを意識したきっかけをたずねると、少し笑って、東日本大震災の年に聴いた私のセミナーだったと言う。今日はそのお礼と報告を兼ねた聴講だった。覚えていなかった私は「はじめまして」と、名刺交換してしまい少々気まずかったが「今日の話も思い当たることがありました」と、フォローされ会場を後にした。
彼女のようにセミナーでの気づきを行動に移す方は5%~20%程度、続ける人はその中の20%、セミナーを活かす人は多く見積もっても4%しかいないことになる。こうして報告に来てくださる方は更に少なく、否応なしに記憶に残った。
昨日の余韻が残る朝。記憶に残った彼女から早速メールが届いた。中段に、顧客名簿の寿命を3年から6年に延ばすことにしたと書いてある。その理由は次の通り。今までの客層よりも若い方々が増えた。この層は今この商品が不要でも後で必要性に目覚める方、今はサンプルどまりだけれど数年後に定期購入になる方が想像より多いかもしれない。そう考えると、売り急いではいけないと意識が変わろり、名簿の寿命を2倍に延ばすことにしたのだ。
彼女が名簿の寿命延長に気づいた、前日の私のセミナーだが飲食店の販促事例の余談で、子供の時に苦手な食べ物であっても大人になって美味しさに目覚めることもあり、その時の喜びは非常に大きいと話した。そして、調理によって食材の個性を消して食べさせたり、諦めて出すのをやめてしまうのはもったいないと付け加えた。
この話から名簿に発想を拡げたのだからユニークな店主だ。そんな彼女のことだから、再び報告に来てくれるかもしれない。弊社の名簿にも延長マークをつけておこう。
(平成30年2月19日執筆)
-
vol.
230傾聴が役に立たない時もある
-
vol.
229初めてのおつかい
-
vol.
228創業からの人